ゲームやアニメによく出てくる、
優しくて賢くておっとりしたお姉さん的キャラクター。
現実ではなかなか遭遇しないタイプの人である。
何故、珍しいタイプなのかというと、
優しさと賢さとおっとりを全て成立させることは難しいからと考える。
まず、ある程度賢いと、相手の粗に気づいてしまうだろう。
また、相手を評価するとき、大抵の場合、自分との比較をすると思うので、
自分に出来ないことしか、「凄い」と感じにくくなる。
つまり賢くて器用な人ほど、相手を本心から褒めることが難しい。
例えば仕事で同僚のA君が、「どうだ凄いだろう」と、
得意げに自分の組んだマクロを見せてくるとして。
賢いお姉さんキャラのBさんは、「自分でも出来るなー」と
思ってしまうだろう。
その場合に、「凄いね」と言えるだろうか。
というか、言って良いのだろうか。
本心では「自分でも出来るわー」と思っておきながら、
「(でも君にとっては)凄いね」と言ってしまうことは、
自然と相手を見下していることなってしまう。
ここでBさんは優しく賢いのでとても悩む。
・本心と違うことを言って相手を褒めてもいいのか。
・しかし褒めたほうがAさんが喜ぶ
・さらに褒めたほうが自分への好感度も上がる
・だがそんな打算で相手を褒めてしまうのは良くない気がする
最適解は、多少褒めつつ、でもA君が調子に乗って井の中の蛙にならないよう
さらに難しいことへの挑戦を勧めてみるとか、その辺だろうか。
まあそれは本題ではないのでなんでもよい。
ここで問題なのは、Bさんが優しく賢く、おっとりなお姉さんであることだ。
おっとりお姉さんは上記のような葛藤を瞬時に計算して最適解を出し、
さらにおっとり教えてくれるのだ。
表面上からは計り知れない計算量とスピードなのである。
そんな速度で計算できる時点でお前、
本当はおっとりお姉さんじゃないだろ! ということである。
ようは賢さとおっとりが矛盾してしまう。
これはゲームのキャラクター作りで、意外と困るのだ。
なにせ優しく賢くおっとりなお姉さんの心理状況が、
さっぱりわからないのだ。だって矛盾しているんだもの。
矛盾しているものは想像できない。
水みたいにぴちゃぴちゃしているけど、同時に石みたいに固い
とかいうようなもの。
上記の設定のままで進めると、結果的におっとりを演じている、
ちょっと腹黒いお姉さんになってしまうかもしれない。
だから少し賢さレベルを下げるしかない。
これ以外にも、様々な矛盾する性格、要素は存在する。
ここを無視してしまうと、途端に嘘っぽくなる。
まあフィクションなんだから、嘘で当たり前なんだけど……。
多くのゲームなんかではあんまり気にしなくて良いのだが、
たまにその嘘っぽいキャラが許されない世界観などがあったりして難しい。
特に登場人物が賢く、シリアスな世界観では難しい。
逆にこの嘘っぽいキャラクターを、
嘘っぽいと思わせない工夫なんかも必要だ。
リアリティを持たせるための心理描写をしつつ、
どうやってこの矛盾を悟らせないか。
心理描写をしないでリアリティを持たせる方法を探したほうが
早いかもしれない。
まあ、そんなところまであんまり気にしなくていいんだけどね、本当は……。
そんなキャラクター作りに悩む今日この頃でした。